第6回フォテージイン美瑛フォトコンテスト結果発表!!

第6回フォテージイン美瑛フォトコンテストにご応募をいただきありがとうございました。
本日は、審査員の総評とともに受賞作品と受賞コメントを公開させていただきます。
受賞されたみなさま、おめでとうございます!
そしてみなさま、すてきなクリスマスイブをお過ごしください!

プリント部門

*** 最優秀賞 ***

「敢ふ」坪井 智洋さん

11月の初旬、牧草ロールを見つけた時には目を疑いました。夏の風物詩として目にすることが多い牧草ロールにこのタイミングで出会えるとは思ってもみなかったからです。カラマツの紅葉が美しく輝く中、ロールに薄っすらと被る初雪を見ていると夏から短い秋、そして長い長い冬へと移りゆくさまを感じさせてくれます。
この作品には、農家さんのことを想像しながら「敢ふ」というタイトルをつけました。この写真を撮った翌日に7-8cmほどのまとまった雪が降り、もう今年は回収する気はないのかと思えました。しかし数日後には一旦溶けて秋模様になり、その合間に一気に回収していかれました。私が同じ立場だったら1回目の雪予報で回収していたでしょう。本格的な冬はまだ来ない。敢えてこうしているんだ。という農家さんの経験や感覚からの強い意志を感じました。

美瑛町に住み始めたのでこの賞でいただいた宿泊券は両親にプレゼントしようと思います。
ありがとうございました。

*** 優秀賞 ***

「Departure」江里 英俊さん

鶴居・伊藤タンチョウサンクチャリで次々と飛び立ち始めたファミリー?の美しさを撮りました。
黒い木々のバックの中に白いタンチョウたちが飛び立つ機会を待っていたのです。屏風絵みたいな仕上がりを求めました。
選んでいただき、寒いのが苦手な私ですが、再度撮影に行きたくなりました。

「春の訪れ」若菜 和也さん

機械化が進んだとは言え、この広大な畑を耕すのは大変な作業だと思います。夕方5時を過ぎ西日を受けて作業している風景が写欲をそそり撮った1枚です。
美瑛でも1・2を争う有名な場所ですが、皆さんとは少し違った向きで撮ってみました。あまりフォトコンに縁はないのですが、フォテージのフォトコンだけは毎年参加させて頂いており、皆さんの作品からたくさんの刺激を頂いています。今回はインスタ部門でも入選を頂き、選んでくださった審査員の皆様に心から感謝申し上げます。

*** 入選 ***

『「再び」いつものとまり木に』加藤 剛さん

1月中旬、訪れた道東。
北見に住む友人に案内をして頂き、訪れたことのない山奥へ。
友人から『もう少ししたら橋があるから、その右手に、オオワシがいると思う。毎年、必ずいる木なんだよね』と説明を受けて、橋を徐行して渡り、静かに車から降りて、周囲を見渡すと、1羽のオオワシが佇んでいた。
時おり吹雪、あいにくの天気だったが、少しづつ落ち着き始めた頃だった。厳しい冬の環境を耐えながら、力強く生きる動物たちの姿は、たまらなく格好良いと思うのです。
「再び」いつものとまり木で佇むオオワシの姿を撮影して、僕は、小声で「かっこいいねぇ~」と呟いていたのでした。

「初霜の朝」椙山 稔一さん

暖かい秋の日が続き、ようやく初霜が観測された朝
街を覆い尽くした朝霧から
色づいた1本ポプラが姿を現してくれました

「共に生きる」中野 智子さん

この日、井上浩輝先生の写真講座を受講するため宿を出て札幌の市街地に歩いて向かっていました。
宿を出てすぐ、犬がいるなと思って近づいてみたのですが、犬ではなく、なんとキタキツネで、慌ててカメラを構えました。
よく見ると、親ギツネのうしろから子ギツネが!
慣れた顔つきで堂々とした親ギツネのうしろに隠れるようにしながら、でも外の世界に興味津々で出たり入ったり。
すすきのの繁華街のビルとビルの隙間。
こんなところで、人間と共に生きながら子育てをしているキタキツネの親子がとても逞しく思えました。
キツネだけをアップで撮った写真もあったのですが、自然の中ではなく都心で人間と共に生きている姿を作品にしたくて、あえて看板の入っているこちらの作品を選びました。

*** 審査員特別賞 ***

「知床に生きるーオジロワシー」久保田 肇さん

現役時代に 札幌と釧路に2度転勤で北海道勤務をいたしました。
以来 北海道の自然に感動し、現在も毎年冬になると北海道あちこちに出かけます。作品は知床・羅臼の船上からの撮影です。

「晩秋のクライマックス」斉藤 均貴さん

晩秋の曇天のある昼下がり。
雲間から光の気配を感じたので、カラマツ並木と秋撒き小麦の曲線が続くこの丘へ。
一瞬、強い光が射し込み、カラマツ林を黄金色に輝かせてくれたことで、晩秋のクライマックスを捉えることができました。

これで6年連続の受賞となり、とても嬉しく思っています。
審査に携われました先生方々、誠にありがとうございました。

「体操日本一」野口 克美さん

北海道へ行くようになり好きな季節が冬になりました。
極寒の撮影は手足の感覚もなくなり痛くて辛いのですが、生きていることを実感できるので大好きなのです。モモンガの写真がまだSNSに出始めた2019年2月にこの子と出会うことができました。うろの形でどこのモモンガやフクロウなのか分かってしまうと聞いた頃だったので、撮影場所も時期も自分の中でそーっとしまっておいたものです。
厳冬の地で元気に生きていることを願って。

「群を求めて」堀 美鈴さん

野付半島で大自然の動物を目に焼き付けようとゆっくり車を走らせていると、最初に目に飛び込んで来たのがこの光景でした。1頭の子鹿が群れから逸れ、水の中を急いで走り仲間を探してるかのように見えました。
車のドアを開ける音で子鹿を驚かせてはいけないと思い、そっと窓を開け望遠レンズでその姿を狙いました。その後子鹿が仲間たちと出会えたか気になりつつ半島を進みました。

自身の作品を応募するにあたり、菊池先生、中西先生の第5回審査員総評を何度か読み返し作品がテーマに沿っているか、またこのフォトコンテストの趣旨に合ってるかを問いただし選びました。色んな想いで撮った一枚を選んで頂きありがとうございます。

インスタ部門

*** 最優秀賞 ***

「目的の場所へ」tocchi67さん

*** 優秀賞 ***

「橙」藤井 ほのかさん

「風水雪に耐えて」若菜 和也さん

*** 入選 ***

「孤高」まりこさん

「運命の出会い」@yupi_hokkaidoさん

*** 審査員特別賞 ***

「野生の眼光は鋭くも優しい」SHIKIさん

*** 審査員総評 ***

 第6回目となるフォテージ イン 美瑛のフォトコンテストが終了しました。受賞された皆さん、大変おめでとうございます。
今回からプリント部門の他にインスタ部門が開設されました。インスタ部門へはスマホから気軽に応募できるということもあり、エントリーはかなり多かったのですが、その分プリントでの応募が減ってしまったのは少し残念な気がしました。

第6回のテーマは「北の地を生きる」でした。
やはりこのテーマで思い浮かべるのは、北国で生きる野生動物たちでしょうか。野鳥や動物の写真が多かったように思います。ただし、やはり北海道は動物達の宝庫。審査する側の目もかなり厳しくなってきます。普段から多く目にしていますし、SNS等でも頻繁にアップされているからです。あ、これはどこどこの場所で撮ったとか、あそこに住んでいる野鳥だな、と言うところまでわかってしまいます。またデジタルカメラの進化で、動いている鳥や動物でも比較的容易に撮影ができるようになりました。ですので、かなり個性的な瞬間を撮らないと上位までは行きづらくなると思います。やはり被写体となる動物達の生態を知り尽くして撮影するということが求められるのではないでしょうか。
話は変わりますが、今回プリントで応募された方の仕上げがとても良かったと思います。
プリントの上手い人は必然的に撮影も上手です。プリンターの進化もあるとは思いますが、やはり作者個人個人がかなり努力されているということを感じとても嬉しく思いました。
次回はどのようなテーマになるかわかりませんが、多くの皆様の力作をお待ちしております。 菊地 晴夫

 応募作品を拝見し、プリントのレベルが格段に向上していることに驚きました。写真を見せるということは、構図や色味などはもちろんのこと、仕上げへの気遣いも大切な要素です。その上で、テーマをどのように表現しているかを熟考しました。
美しいだけではなく、生きるという意味がどれほど閉じ込められているのかが、選考のポイントになったように思います。
この厳しくも美しい大地で生きる意味を、皆さんの作品から教えていただきました。中西 敏貴