第7回フォテージフォトコンテスト結果発表!!

第7回フォテージフォトコンテストにご応募いただきました皆様、ありがとうございました。
本日は、審査員の総評とともに受賞作品と受賞コメントを公開させて頂きます。受賞されました皆様、おめでとうございます!
そして、皆様素敵なクリスマスをお過ごしください。

プリント部門

*** 最優秀賞 ***

『黄昏の風蓮湖』 斉藤 均貴さん

11月中旬のとある晴れた日、根室・春国岱で夕活を終えた後、風蓮湖畔にある宿へチェックイン。
チェックイン後に部屋に入ると、宿のスタッフさんがカメラを持って走って行ったので、部屋の窓から風蓮湖を覗くと、何とタンチョウのつがいがいるではありませんか!
私も慌ててカメラを持って風蓮湖畔に行くと、茜色に染まった黄昏の空が風蓮湖にリフレクションした何とも美しい光景が…風蓮湖の遥か彼方に雄阿寒岳のシルエットが見えたので、それを背景に1羽のタンチョウに狙いを絞って撮影したのが、この作品です。これで7年連続での受賞となり、初の最優秀賞と合わせて、とても嬉しく思っております。
審査に携われた先生方、そしていつもお世話になっているスタッフの方々、大変ありがとうございました。

*** 優秀賞 ***

『神の御庭に』 竹内 誠さん

今回のテーマ「古き良きもの、そして今へ」、難しいテーマだなぁとしばし考えていましたが、ふと北海道は先住民アイヌの文化や言葉が日常生活の中、あちこちに残され今なお生きていることを思い出し、アイヌ文化に纏わる作品を選んでみました。
この作品は、積丹町の神威岬で撮影したものですが、カムイはアイヌ語で神を表し、ここがアイヌの人たちにとってたいへん神聖な場所であったと思われます。
吸い込まれてしまいそうな積丹ブルーの海、そそり立つ神威岩、そしてチャレンカ伝説、今なお神が住み給うところと私たち現代人にも感じられます。

『静寂』 佐々木 郁太郎さん

2024年1月下旬、夜明け前の暗闇の中、凍結した糠平湖の上をタウシュベツ川橋梁まで歩いて目指しました。たどり着いた先で出逢えたのは、静寂の世界で刻々と色味が変化する空と、浮かび上がるタウシュベツ川橋梁の圧巻の風景。暗闇と雪の色のない世界から、夜明けと共に刻々と色ずく世界。過酷な北海道の冬だからこそ見れる風景だと思います。
時は流れ、近い将来崩壊が進み、橋梁が途切れた時には見れなくなる、一期一会の風景です。

*** 入選 ***

『雪のカラマツトンネル』 若菜 和也さん

赤羽の丘は、ポプラで有名ですが、私は手前のカラマツ林に絡めて撮るのが好きでした。
秋は紅葉、冬は雪を被ったカラマツと雪面に長い影を落とすカラマツ。そんなカラマツがある日突然バッサリなくなっているのを見たときのショックは、今でも鮮明に覚えています。
その後植栽された木も背丈を越えてきてこれからが楽しみです。
そんな赤羽の丘のカラマツが、今回のテーマに合っているかなと思い応募しました。フォテージフォトコンは毎年楽しみにしていますが、昨年に引き続き、プリント・インスタで選定頂き誠にありがとうございました。
審査頂いた菊地先生・中西先生・オーナーの佐藤さんに感謝申し上げます。

 『さぁ、帰ろうか』 坪井 智洋さん

夕方に畑の様子を見に来たおじいさん。
「さあ、帰ろうか」
おじいさんが歩き出すと、カラマツの木に止まっていたカラスも飛び立ちました。
モノクロの作品で入賞できて嬉しく思います。

『四季を問わず魅了される池』 堀 美鈴さん

10日間の日程で北海道へ撮影に訪れた際の一枚。青い池のライトアップの撮影は最終日のこの日しかなく、雨が上がって欲しいと願いながら十勝岳温泉美瑛線を車で向かいました。
目の前に広がる青い池は、斜に降りしきる雨と碧くライトアップ照らされた木々がこの上なく美しく、、、
激しく降る雨と寒さで気持ちも萎えていましたが、それを払拭するほどの絶景が広がりひたすらシャッターを切っていました。
訪れる人を四季折々、一年を通し魅せてくれる青い池。土砂降りの雨も悪くはないじゃないか、、、そう思わせてくれた光景でした。「古き良き青い池、それをより美しく照らすライトアップ」また訪れたい処です。
この度はプリント部門の入選を頂きありがとうございます。大変光栄に思っています。
審査に携われました先生方、フォテージイン美瑛のスタッフの皆様、ありがとうございました。

*** 審査員特別賞 ***

『いつまでも一緒に』 中野 智子さん

冬の美瑛の凛とした雪景色が大好きで何度もかよっています。
雪原に佇む木は美瑛ならではの風景ですが、大きくなって形が変わってしまったり、倒れてしまうこともあり、同じ景色が次も見られるとは限らないんだなあと自然の変化をあらためて感じています。
風景との出会いも一期一会。
この5本がいつまでも一緒に仲良く並んでいてほしいという想いと、いつも美瑛に行く友人とまた一緒にこの素敵な風景が見られることを願って『いつまでも一緒に』というタイトルをつけました。

『里の春』 雨夜 秀治さん

この桜の風景の場所は、新ひだか町静内御園の二十間道路の外れにあります。
15年前私が仕事の関係で3年半静内に住んでいた時に、春になるとよく訪れていたお気に入りの気持ちの落ち着く場所でもあります。
5月に久しぶりに訪れたのですが、以前と変わらず風景が広がっていました。
最近は、名所の観光地化が進んで、このような昔と変わらない静かで、人を気にせず、落ち着いて撮影できる場所が少なくなったような気がして残念です。この度は、審査をして頂いた先生方々、誠にありがとうございました。

『双子の木』 まつい りのさん

以前よく撮りに行っていた場所です。引っ越してからあまり撮りに行く機会がなく、今は片方の木が折れてしまったようです。
今はもう見れない景色ですが、私の心のファインダーには今でも残っています。

インスタ部門

*** 最優秀賞 ***


『昔は見えた赤い屋根の家』斉藤 均貴さん

*** 優秀賞 ***

『まだまだ、続く、旅路』矢部 翔悟(shogo2019)さん

『大雪山とニオの夕陽』若菜 和也さん

*** 入選 ***

『自然と共存』imakojiさん

『狭間』椙山稔一さん

『昭和から愛されている駅舎』happinesskumiさん

*** 審査員総評 ***

プリント部門

審査員 菊地晴夫先生

今回のフォトコンテストは、テーマ「古き良きもの、そして今へ」を通じて、様々な素晴らしい作品がエントリーされました。

ただし、前回も書いたと思いますが、コンテストのテーマをしっかりと理解し、それに沿った作品を提出することが非常に重要です。素晴らしい構図や美しさを持つ作品であっても、テーマとの関連性が薄い場合、それが十分に評価されにくい結果となることがあり非常に残念に思いました。

しかし、応募されたプリント作品の質の高さには驚かされました。皆さん、プリント表現に手慣れた方々が応募されたことが伺えます。
プリントではディスプレイの画面とは異なり、色味や質感を忠実に再現するのが難しい面がありますが、ぜひ今後もプリントでの応募を期待したいところです。総じて、応募作品全体の質の高さと情熱には頭が下がります。広大な北海道をくまなく撮影していることが良くわかりました。次回のコンテストでも、より多様で感動的な作品に出会えることを楽しみにしています。

最優秀賞『黄昏の風蓮湖』

タンチョウは日本の象徴的な鳥で、一時は絶滅の危機に瀕していましたが、地域の人々の努力によってその数が回復してきました。 この写真は、自然と人間の調和、そして未来への希望を示唆していると感じます。また、黄昏の時間帯は「過去から現在、そして未来への移行」を思わせ、テーマ性が際立っています。
構図についても、タンチョウが風蓮湖にポツンと立つ姿はとても詩的で、湖面に映る柔らかな光の反射が場面を一層幻想的にしています。この写真が持つストーリー性は、見る人の心を深く動かすものと思います。

優秀賞『神の御庭に』

積丹ブルーの透き通った海と力強い神威岩、また白波を立てて走る船の対比がとても印象的で、自然の壮大さを感じさせます。神威岩のような自然の造形物は、何千年もの風雨に耐えながらその形を保ってきたもので、「古き良きもの」の象徴とも言えます。
そして、その壮大な自然を背景に、一艘の船が辺りの静寂を打ち破るかのように横切る姿は、現代人と自然の関わりを示しているように思いました。

秀賞『静寂』

タウシュベツ川橋梁は「古き良きもの」を象徴する絶好の被写体であり、時間の経過や自然との共存がテーマに深く響いています。
この橋は日本の産業遺産の一部として、人々の記憶に残る建造物ですが、朽ちていく姿は儚さと美しさを同時に感じさせます。
マジックアワーの紫と青のグラデーションが、橋梁の歴史的な価値をより幻想的に引き立てています。そして、夜空に浮かぶ月が、橋梁の静けさをさらに際立たせています。月明かりと雪景色が良く調和し、画面全体に深い感動を呼び起こしています。
橋が次第に姿を失っていくことは、自然と時間の力を象徴しつつ、未来への儚いメッセージでもあると言えるのかも知れません。

審査員 中西敏貴先生

美瑛の魅力は言わずもがなですが、北海道内にはさらに広がりと深みのある場所があり、それらに目を向けている作品が増えたことは大変喜ばしいことです。今後も、美瑛を拠点に幅広い作品が集まることを期待したいと思います。
そして、プリントの質の向上も特筆すべきことでしょう。簡単に写真が撮れ、SNSにアップできる時代だからこそ、じっくりと自然と向き合い、形に残すことの大切さを再認識させていただきました。
フォトコンテストはその性質上優劣をつけざるを得ないというジレンマがありますが、写真そのものに優劣があるわけではありません。これからも、北海道の魅力を探求し、心に響いた作品を撮り続けていただければと思います。

最優秀賞『黄昏の風蓮湖』

色合い、空間構成、撮影のタイミング、どれをとっても文句なしの1枚でした。なによりもそれらの魅力を引き出すプリントの美しさが突出しています。
動物が主役のようでいて、実はその背景の風景を含めた北海道の自然の豊かさを感じさせるあたりが心憎い。道東の自然の奥深さをこの写真が教えてくれます。

優秀賞『神の御庭に』

これぞ積丹ブルーという色合いの中、漁師の船が絶好のタイミングで通り抜けていく瞬間を捉えた、印象的な写真です。
女人禁制の地であった岬は今では観光地となり、多くの人に楽しまれるようになりました。歴史と人々の暮らしが重なる北海道の魅力を、これからも撮り続けていただきたいと思います。

優秀賞『静寂』

タウシュベツ橋梁をモチーフにした写真は近年多く見かけるようになり、新鮮さが失われてきたのも事実です。その中でも、これぞという条件を整えて撮られた写真にはやはり魅力を感じますし、その努力にも感動します。失われていく運命を背負った橋梁の姿を、最後まで見届けて頂きたいと思います。

インスタ部門

審査員 井上浩輝先生

多彩な視点で「古き良きもの、そして今へ」を捉えた作品が数多くお寄せいただき、ありがとうございます。みなさまから応募いただいた作品それぞれが、独⾃の⾊や物語を湛(たた)え、選考を難しくする⼀⽅で、写真のいっそうの可能性を実感させてくれました。
写真は瞬間を切り撮るメディアですが、そこには撮影者が⾒つめる過去や未来への想いが織り込まれており、時間を超えた物語を感じさせる⼒があります。
本コンテストでは、⼀枚ごとに技術⾯のみならず、構図や光の扱い、さらには⾒る者が作品を通して広げる想像⼒など、多⾓的な視点で評価を⾏いました。
受賞作品だけでなく並べられたすべての応募作品同⼠が互いに刺激し合うことで、さらにそれぞれの写真の魅⼒が引き⽴つのも写真表現の⾯⽩さだと感じています。
多くのご応募、誠にありがとうございました。受賞者のみなさま、おめでとうございます。

最優秀賞 『昔は見えた赤い屋根の家』

かつて⼿前の防⾵林がまだ背が低かった頃には、遠くにある⾚い屋根が⾒えていたと聞きます。この⾵景は過去の記憶を懐かしませる魅⼒があると⾔えます。⼀⽅、今⽇の同所は、年⽉を経て防⾵林が⽴派に成⻑し、同じ場所からはかつてとは異なる眺めが広がっています。防⾵林が伸びたこと⾃体は決して悪いわけではなく、それもまた「今」を⽰す⾃然の営みとして捉えられるでしょう。
過去の記憶が刻まれた場所と、変容する現在の姿が⼀枚の写真に重ね合わさることで、撮影者の視線とともに時の流れを深く感じさせてくれます。⾵景が移り変わる中で、かつての姿に思いを馳せつつも成⻑した防⾵林の美しさを⾒つめ直す・・・
この時間を超えるアプローチが、本作品を最優秀賞にふさわしいものとしていると感じました。おめでとうございます。