第5回フォテージイン美瑛フォトコンテスト受賞作品発表

第5回フォトコンテストにご応募をいただきました皆様、大変ありがとうございました。感謝申し上げます。本日は、審査員の総評とともに受賞作品と受賞コメントを公開させていただきます。受賞されたみなさま、おめでとうございます!そしてみなさま、すてきなクリスマスイブをお過ごしください!

*** 最優秀賞 ***

「早春の銀河」横江憲一 さん

四季折々十勝岳で好きな季節として、望岳台までのアクセスが可能となる早春の5月です。この時期の十勝岳は、まだ、真冬です。積雪が十分ある十勝岳とさそり座~いて座の天の川、足跡の無い雪面の質感をずっと狙って、何度も深夜に登ってやっと巡りあえました。噴煙の影響で十勝岳が見えないことも多く、この日は、北西の強風によるクリヤーな十勝岳及び、背景として華やかな星空が見える時間帯を選んで撮影しました。撮影時には露出とたっぷりかけて、RAW現像時は、昼間のように明るく雪面の白さと質感を表現しました。

*** 優秀賞 ***

「大地の息吹」若菜和也 さん

今回のテーマ「四季折々~あなたの好きな季節はいつですか?~」…答えは「春夏秋冬」!四季折々で全く違う風景を見せてくれる美瑛でどれか一つを選ぶことが出来ませんでした。幸いにも今回は5枚の写真で応募出来たので、それぞれの季節で応募させて頂きました。選んでいただいた写真は、桜にはまだ早い4月。山の雪もだいぶ解け、トラクターが畑を耕す風景を見て、大地の息吹を感じました。


「昇龍」森口芳恵 さん

凍える大地に息づく生き物や自然の姿を見たくて冬に訪れることが多い北海道。好きな季節はと聞かれれば、やはり冬と答えると思います。写真の硫黄山は、雪を被った冷たい岩場から地中深くの熱い息吹が噴き出し地球は生きていると感じさせる大好きな場所です。もくもくと湧き上がる蒸気が一瞬天に昇る竜のような形に見えた一枚を応募しました。この度は優秀賞に選出、ありがとうございました。

*** 入賞 ***

「春近し」鈴木琢磨 さん

これまで撮影してきた融雪剤の写真の中でも個人的にお気に入りの写真だったので入賞できてとても嬉しいです。動きものなのでタイミングがなかなか難しかったですが、納得いくタイミングで撮影できたかなと思います。東京から美瑛に移住してきましたので、次の融雪剤の時期もたくさん撮影したいと思います!

「しばれる朝」久野隆史 さん

凛とした空気感を味わいたく、最も寒い時期であろう2月1日に豊頃町を訪ねました。福岡在住の私にとりまして厳寒期の北海道、まして早朝4時からの撮影はかなりの緊張を強いられるものでした。しかし、漆黒の空が藍色に変わり、遠くの山並みが暖色に染まるころ天空の星たちが今にも降ってくるのではとの幻想にかられ、寒さを忘れてしまいした。数名のカメラマンが無言で切るシャッターの音だけが響く静寂な時間を体験しました。あなたの一番好きな季節は?私は冬だと応えます。審査をしていただいた、菊地、中西両先生のファンの一人として感謝申し上げます。又、冬に参ります。  


晩夏「西陽を浴びて」加藤剛 さん

撮影したポイントは、多くの方々が、ご存じの場所です。僕も、この場所から撮影する羊蹄山が好きで、一年に何度も訪れています。羊蹄山の姿がくっきり見えること、池に、羊蹄山の姿が映りこむことを期待してワクワクしながら訪れますが、その期待をいつも裏切ってくれる場所なんです(笑)夕暮れ時、この場を訪れると、驚く光景が広がっていました。赤く染まり始めた羊蹄山の姿、池に映り込む様子、素敵な光、言葉を失うほどの光景でした。その状況に、舞い上がることなく、しっかり撮ろうと言い聞かせて撮影をしました。僕にとっての素敵な一枚が、この入賞を頂き、更に、素敵な一枚になりました。

*** 審査員特別賞 ***

「夜明けの静寂」斉藤均貴 さん

静寂に包まれたヤウシュベツ川河口の夜明け。鏡のような川面が空のグラデーションをそのまま映し出し、風連湖へと続いていました。


「春近し」椙山稔一 さん

冬から春へ、氷に閉ざされたタウシュベツ川橋梁が力強くその姿を現した。十勝晴れの陽射しを浴びて存在感を増すその姿に、やがて来る春の訪れが近いことを感じさせる光景でした。撮影日時 2022.03.13_11:48


「流氷に生きる」佐藤教子 さん

北海道の一番好きな季節は大地が白銀に染まる「冬」です。道東の撮影旅行で私が出会った光景は未知のものばかり。 特に野付半島の最果て感には言葉がありません。この日はたくさんの流氷が来ていたのでエゾシカと一緒に撮影したく探していました。すると、一匹の雄鹿が海辺に佇み、こちらをじっと見ています。警戒されないように静かに車の窓を開けてもらい、夢中でシャッターを押す、、、「お願い、逃げないで、、こっちを向いて!」との願いが通じたひととき。厳冬の地で逞しく生きる動物に元気を分けてもらった気がしました。寒さを忘れて撮影に没頭した非日常の時間、思い出深い一枚を選んで頂き本当に嬉しいです。ありがとうございました。

*** 審査員総評 ***

第五回目となるフォテージイン美瑛、フォトコンテストの審査が無事終了しました。まずもって受賞された皆様、大変おめでとうございます。例年よりエントリー数がやや少ないと感じたのですが、その分、かなりハイレベルな内容になっていたと思います。特に自家処理のプリントではなく、メーカーによる本格クリスタルプリントでの応募者が多く、皆様の意気込みが伝わってきました。といっても、それで入選に有利となるわけではなく、当たり前ですが作品の善し悪しで決まります。今回のテーマは「四季折々 ~あなたの一番好きな季節はいつですか?~」でした。一次審査から二次審査へと進むわけですが、二次審査くらいに入るとこのテーマに沿っているかを作品を観ながら決めていきます。特に今回は季節感が出ているかや、好きな季節が画面に盛り込まれているかなどが重要な要素になってきます。作品的には素晴らしくても季節感がやや欠けていたり、曖昧だったりすると残念ながらノミネートされません。それと以前何処かで観たような作品は不利になってきます。そういう意味では惜しい作品が多々ありました。テーマに合致し、尚且つ自己表現の優れている作品を創るということが、最も重要になってきます。次回はどのようなテーマになるかまだわかりませんが、皆様の力作を楽しみにお待ちしております。 菊地晴夫

こうしたコンテストにおいて大切なことはいくつかあります。まずはテーマに沿った内容かどう か。そして、選ばれたモチーフが他と差別化できているか。基本的な技術はもちろんのこと、こう した要素が入選か否かを分けることになります。これまでの傾向として、美瑛の丘に棚引く朝霧の 作品はとても多く、著名な木々の写真も沢山寄せられます。青い池も然り。それらが決して悪い わけではなく、他との差別化が図られているのかが重要だと言えるでしょう。その意味でも、今 回は多様な写真が集まったように思います。回を重ねるごとに地域の広がりが見られ、よりバリ エーションが豊かになりました。つまり、入選を目指すならば、それほど応募されていないモチー フを選んでみることも、大切な作戦とも言えるでしょう。 プリントの質も次第に安定し、年々技術が向上してきたことも好印象でした。旅をし、写真を撮 り、プリントして楽しむ。このルーティンこそが、最も楽しい時間なのだろうと思います。自粛生 活から解き放たれ、みなさんの旅がより豊かになり、来年はさらなるバリエーション豊富な作品 に出会えることを期待しています。 中西敏貴